紙切れってバカにするけどよ
紙を発明したのはエジプト人ではあるのだが、その紙、パピルス
ってのは作るのにえらく労力がかかる。繊維を縦横に並べ、
そのあとで圧着させるわけで作るの簡単ではない。
それでも粘土板に比べれば高性能だったわけだけどね。
の一方で羊の皮を元にした羊皮紙(パーチメント)が紀元前15世紀ごろ
作られ、それから使われていたわけだが羊皮紙にはある欠点があった。
高い。
ちなみに世界最初の出版物である聖書は、紙での出版と
羊皮紙での出版が行われた。
さておき、中国で紀元前100年位には絹糸の紙が出来、それから
100年もしないうちに麻で作った紙、そのあと改良が加わり
なかなかにリーズナブルな紙が出来たと。
今使ってる紙ってのは中国発な訳だ。
その紙をヨーロッパで研究した結果、木材をくだいて溶かしどろどろに
溶かしたものをすいてから作る現在の紙が誕生したわけだ。
基本的に草などで作ろうが木材で作ろうが、
どろどろに溶かす→すかす→乾かす
という工程と材質(セルロース)は代わりはしない。
現在では、それにコーティングしたものや多層構造にした
ダンボール紙など、用途はいろいろあるがほとんど木材由来だ。
紙が無かったらまともに生活できないのは事実。
大量に使いすぎじゃないかという話はあるが。
ところで、紙を作るのは人間だけだろうか?
当たり前だ?本当にそういえるのだろうか?
厳密に紙かどうか微妙だがこんな例もある。
ある種の蜂だが、植物性材料と分泌物から蜂の巣を作る。
つまり蜂の巣の壁がある意味紙だと。
というより人間のほうが、ある意味蜂の巣参考にして西洋紙を作った
わけで(1719年、フランスのレオミュールら)。
つまり蜂がいなかったら、私らは紙をこんなに大量に使えなかった。
とは言うものの、紙が無かったわけじゃないので世界中で和紙みたいな
物を使っていた可能性は大だ。
コピー機に、はがきに、メモ帳に、新聞に、マンガに和紙。
手触りよさそうだな。
トイレットペーパーやちり紙が和紙だったら気持ちよさそうだ。
そういや、日本のお札ってある意味和紙なんだよな。
(材料は「みつまた」。もっとも作り方は全然違うけど)
だとしたら日本のお札だけは変わりないんだ。
ところで紙で手を切ることがあるが、あれは裁断面の問題だ。
切り口が鋭すぎるせいである。もっとも、使っていくうちへろへろに
なって、最後にはまったくそんなことなくなるけど。
紙で木のようなもの作ることが出来るという研究も進んでいる。
そりゃまあ木の材質はセルロースとリグニンだから、また混ぜたら
木の材質に戻るわけだが。紙の家さえ出来そうだ。
いずれにしても紙が無かったら、未だに俺ら粘土板使ってたか
ある日突然PDA使い始めるかのどっちか…はないだろ。